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ヘミングウェイ「武器よさらば」【書評】

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武器よさらば (新潮文庫)

アーネスト・ヘミングウェイの「武器よさらば」の感想です。

 

*ネタバレあります。

 

愛と喪失の物語

アーネスト・ヘミングウェイの長編小説「武器よさらば」は、第一次世界大戦のイタリア戦争を舞台にした物語です。

あらすじは、ウィキベティアに簡潔にまとめられています。

第一次世界大戦中、イタリア兵に志願したアメリカ人フレデリック・ヘンリーだが、イタリア軍は理想とはかけ離れていた。その戦場で看護婦キャサリン・バークレイと出会う。初めは遊びのつもりの恋であったが、しだいに二人は深く愛し合うようになった。やがてキャサリンの妊娠が分かり、二人はスイスへと逃亡する。ところが難産の末、子と共にキャサリンは死んでしまい、最後は雨の中をフレデリックは一人立ち去ってゆく。

武器よさらば - Wikipedia

 この物語は、愛と喪失の物語です。

主人公のヘンリーは、初めは理想を持って戦争に参加したが、その情熱は小説の冒頭からすでにほとんどが失われています。戦争の前線で働いていた彼は、駐在する街で看護をしていた女性キャサリンと出会います。最初は恋のゲームをしているつもりだったヘンリーは、いつしか彼女を本気で好きになりました。

彼が重傷を負って前線からの離脱をきっかけに、二人は愛を深めます。その間に戦争はイタリア側の分が悪くなり、彼が再び前線に戻るときに戦争はより悲惨なものとなっていました。撤退戦の中、自分たちの味方であるイタリア軍に命を狙われたとき、彼の中で戦争は終わります。イタリアに見切りをつけ、ヘンリーとキャサリンはスイスに亡命します。

亡命に成功し、二人はスイスで素晴らしい時間を過ごします。景色は美しく、キャサリンと暮らす日々は至福でした。幸せの絶頂の中、キャサリンは出産することになりますが、そこで子と彼女は死んでしまうのです。

この展開があまりにも急転直下で、読んでいて驚きました。文庫で500ページ以上ある中で、終わりの数十ページで彼女が急に死んでしまうのが、喪失の唐突さを突きつけます。もちろん、彼女が妊娠している中で不穏な雰囲気はふんだんにありましたが(例えば、雨と二人の死についての会話など)、それでも驚かされました。

愛を知り、その愛を喪失する。喪失の後は何も語られません。ヘンリーは最愛の人を失い、雨の中病院からホテルに戻るという記載で小説は終わります。

「武器よさらば」は、二人の愛とその喪失にだけフォーカスし、舞台装置として戦争を置くという徹底した作品なのです。

戦争の体験をこのような形で作品化したヘミングウェイの精神性が恐ろしくもタフでピュアだと感じます。

 

ヘミングウェイは「老人と海」と短編小説を読んだことがありましたが、個人的には「老人と海」より、この作品の方が好みです。

彼の影響を受けた村上春樹や、彼の交流があったフィツジェラルドなどが好きな人は気にいる作品だと思います。ぜひ読んで欲しいです。

 

武器よさらば (新潮文庫)

 

 

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