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デイミアン・トンプソンの「依存症ビジネス」【書評】

依存症ビジネス――「廃人」製造社会の真実

デイミアン・トンプソンの「依存症ビジネス」についての書評です。

元アルコール依存症の著者が書く恐ろしい「依存症ビジネス」

 内容としては、海外の本に多くあるような、具体例を羅列して、その間にデータなどを説明する形の書籍です。

著者は、元アルコール依存症だった人ということでユニークなんですが、依存症のメカニズムと、それを利用しようとする企業の例が出ていて、読み物として面白いです。

いくつか面白かったキーワードは、

・人は、「快楽」より「欲望」に強い依存を持つということ

・入手の簡単さが、依存に大きく関係があること。

・人は短期的な報酬に抗うことが難しいこと。

です。もう少し細かく説明します。

人は、「快楽」より「欲望」に強い依存を持つということ

これは、人間は快楽を受けている瞬間より、その快楽(報酬)を味わうために我慢し、そして快楽を味わうというプロセスに強い依存性を持つということです。

パチンコなどを思い浮かべてもらえばわかると思います。パチンコは、パチンコが当たること自体より、ずっと当たらなくて、イライラしたりハラハラして、そしてそれが大当たりして一気に快楽物質が出るという、その過程が実はとても面白くてくせになるということです。日本では射幸心なんて言いますね

射幸心 - Wikipedia

これが大変な依存性があるということです。

入手の簡単さが、依存に大きく関係があること

依存症は、入手の容易さも影響を与えます。例えば、アルコールは、今では気軽に手に入る商品です。依存とは習慣であるため、気軽さが大事になります。

人々が薬物の問題を抱える確率がもっとも高くなるのは、薬物が、物理的・経済的・社会的・心理的に入手可能になった時だ。

人は短期的な報酬に抗うことが難しいこと

依存的行動の本質は、人々が、自分のためにならないことをわざわざ選び、行ってしまうことにある。そうすることで、長期的な報酬を得るかわりに、短期的な報酬を選んでいるのだ。

 依存的行動とは本質的に自発的な行為なのだ

 古代は、長期的に物事を考える余裕なんてなかったため、人の脳は短期的な行動に強いインセンティブを感じてしまいます。そのため、目の前に美味しそうがケーキがあった時、カロリーの取りすぎだとわかっているのに、ついついその場の言い訳を自分で探して食べてしまいます。そして、それを利用して様々な企業が短期的な報酬の仕掛けを作っています。

まとめ

本書を読むと依存症とはどんなものであるか、そして誰もが陥る可能性があるものだとわかり、その具体例もわかります。

ただし、科学的な部分の説明などは少ないため、読み物という域を超えないと個人的には思います。もう少し脳を反応など、科学的な記述があればさらに説得力が増したのではないかと思いました。

個人的に面白いのは、著者も依存症であるため、他の本のような依存症を治すための方法などは一切書いていないという点です。ただただ、依存症を利用したビジネスの具体例が載っています。ここまで原因などをまとめているのに本人は治せないのですから、依存症のすごさがわかります。

 

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