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太宰治「ヴィヨンの妻」【書評】

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ヴィヨンの妻 (新潮文庫)

太宰治の「ヴィヨンの妻」を読んだ感想です。

放蕩男の妻が語る物語

 あらすじ

作者を髣髴させる、元男爵の次男だという帝大出の詩人の妻「さっちゃん」の視点で、大谷と彼を取り巻く人々の言動が綴られている。さっちゃんは、浅草公園の瓢箪池畔でおでんの屋台を出していた父とふたりで長屋に住んでいた。小金井の家はボロ家で、3人家族の家計は、しばしば熱を出す子供を医者に連れて行きたくても、お金もない有様。その上、大谷は数日も帰ってこないこともしばしば。ある時、大谷は入り浸っている中野駅の小料理屋「椿屋」から運転資金を盗み、やってきた経営者夫婦に大谷は辻褄のあわない言い訳を並べたてる。

ヴィヨンの妻 - Wikipedia

 

ヴィヨンの妻は、深夜のボロ屋から物語が始まります。

酔った旦那が深夜に自宅に帰ってきて、物語の主人公である妻が迎えます。ただ、その日はいつもと様子が違いました。

旦那は妻と子供を気遣った態度で普段より優しい。それが不自然でした。

しばらくすると、妻の知らない男女が旦那を探して家に現れました。そして、玄関先で旦那としばらく会話をし、責め立てました。

旦那は浮ついた態度で、しまいには逃げてしまいました。

状況が全く掴めない中、妻は男女から今夜の騒動の事情を聞きます。

この日から急速に物語が動き出します。

図太くなる妻

妻の旦那は、有名な作家で、酒に強いが女たらし。妻を置いて何日も戻らないような男です。

ただ、妻はその旦那に対して怒りを抱いている様子はありません。この物語の始め、妻と子供は頼りない存在で、もう何にも期待をしていない様子でした。

ところが、旦那を追って家にやってきた男女から事情を聞いたところから、妻の心境と態度が少しずつ、でも確実に変化していきます。

感想

か細いイメージだった妻が、徐々に神経の図太い、生活力のある女性へと変貌していくのです。

この妻の心境の変化が小説「ヴィヨンの妻」の読み応えであり醍醐味です。

 

ただ、私は本を読み終わった後は居心地の悪い気がしました。

若くして結婚し、放蕩旦那とその友人に頼って生きる女性が、世間との関係を取り戻し、生き生きすると同時に、社会の汚ない部分や人間の逞しさに触れていわゆる「スレて」いく様は、読んでいて申し訳ない気持ちになりました。

妻は、世間慣れをしていくほどに自分が生きているという実感を得ます。

世間に染まるほどに彼女はどんどん輝いていくのです。

そして物語のラストに彼女は、「私たちは、生きていさえすればいいのよ」と語ります。 

この物語、作品発表当時はセンセーショナルだったのではないかと想像しました。

 

ヴィヨンの妻の目線を借りて、無垢からたくましい女性に変化する過程を赤裸々に描いた作品でした。

ヴィヨンの妻 (新潮文庫)

ヴィヨンの妻 (新潮文庫)

 

 

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